− 太郎は仁王立ちであたしを待っていた。
− 怒らないでよ太郎。時間通りにきたんだから。
先日、スタジオの面接前に版画館で岡本太郎の版画を感じてきた。
そういえば、一度受賞したことがあるな、版画で。
気に入った作品は「黒い生き物」。
色は無く、深い黒色でもない。
嬉しかった。
誕生日に、感じにいきたいとおもった太郎。
会えてよかっタロウ。
当然の如く、遊びに行ったつもりが思った以上に面接だった。
いや、そうでなければ行く意味がないのだけれど。
同じ地域に住み暮し、同じ高校へ通っていた先輩がカメラマンだった。
そんなひとに出会えただけでも嬉しかった。
応募はしないことを結論として心に落とした。
2年ぶりに自己との戦いをしてみよう。
そして、版画教室へ行こう。